- 2007-03-07 (水) 23:24
- 書評
しかし、はじめは物理学から彼に興味を持ち始めたわけではない、書店の理工書に変わった題名の文庫本があるのをたまたま見つけ、はじめは無名な科学者が書いたエッセイ集かなと思って手にとった。
その本には、彼の幼少時代の事からあの有名なマンハッタン計画についてまで事細かに書いてある。
後からわかった事であるが、彼はMIT出身のノーベル物理学賞受賞者、いわゆる一流の物理学者であった。
しかし、私の思い込みで有名な学者というのは、厳格でヘタな事は言わないイメージをもっているのだが、ファインマンはギャンブルもするしブラジルのサンバにドラム奏者として参加もする変わり者。私が特に好きになったのは、やはりエッセイ集の「困ります、ファインマンさん」を読んでからである。
前著「ご冗談でしょう、ファインマンさん」は、くだけた文章で役人や軍人に冗談のきついイタズラをしたりと、和やかであり痛快な内容であるが、こちらは少々違っている。
最初のエッセイは、ファインマンがまだ若い頃、妻と死別した事について、彼らしい表現で思いを綴っている。若くして恋に落ち、結婚を考えていた時期に彼女のアーリーンは不治の病にかかっている事が判明した。数年間の余命と知りつつも、彼らは結婚し純粋に愛し合っていた様を見て、ファインマンの人間性が読み取れる。
後へスペースシャトルの事故調査委員会時代の話へと続いていくが、彼の率直さには自分も見習わなければと思った。
ファインマンは死に際「I’d hate to die twice. It’s so boring.」と言っていた。彼らしい。
それとは別に、勿論彼の物理学も解りやすくおもしろい。
彼がカリフォルニア工科大学での講義をまとめた「Feynman Lectures On Physics」は、私の不安を取り除いてくれた素晴らしい物理学の教科書である。
ここに使われている英語は簡単と言われているが、私ではテンデ駄目だったので和訳をしたのも購入した。
翻訳が下手なので読みづらいが、他の物理学の本では書いていない事が書いてある。
彼は、公式ばかりのせた本を嫌っていた、当然ながらこの本も公式や数式は殆ど載ってはおらず、冗談を交えた身近な物理現象の説明が続く。
書いてあるのはエネルギーとは一体何者か??や、なぜ永久機関が作り出せないか?などだ。
この本だけでは私では演習問題を解くことが出来ない。だが、自然現象を「理解」するという点では最高の教材であろう。
物理を理解しようとする姿勢は、世の中を理解しようとする事と同意である。
宗教や占いが非科学的で、でたらめであるという批判があれば、逆に物理というのも「ニュートン教」の信者に他ならないという批判もある。
科学が戦争を最悪なものへと進化していった事も忘れてはならない、原爆の開発に参画したファインマンは、日本に2度実際に落ちて愕然としていた、しかし悪いのは科学では無い。
使い方を誤った政治家が悪いのだ。
金八先生が、薬中の生徒をかばい「人を憎むな、薬を憎め!!」と他の生徒に指導するシーンがあったが、その逆である。
とにもかくにも、優秀な物理学者として、一人の人間としてR.F.ファインマンの生涯は興味深い。
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